光のもとでⅠ

14

 鍼のあとは昇さんの治療を受け、少し休んでからマンションに帰った。
 お母さんはロータリーで車を停め、「先に戻りなさい」と勧めてくれた。
 エントランスに入ると、隣接しているカフェラウンジに栞さんとゆうこさんがいた。
 お茶を飲みながらフラワーアレンジメントをしているみたい。
 フラワーベースが小さいガラスの器でかわいい。
 ココットくらいの大きさで、小物好きの心をくすぐる。
 曇りガラスの向こうにオアシスのグリーンが透けて見えるのがとくにツボだった。
「久しぶりね」
 エントランス側を向いて座っていたゆうこさんに話しかけられる。
「お久しぶりです」
「……顔色悪いけど大丈夫?」
「あ……えと、生理で……」
「あら、生理痛ひどいの?」
「はい……」
 大人の女の人はみんな栞さんと同じなのかもしれない。
 話すことにさほど抵抗を感じない。
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