光のもとでⅠ
「静兄様も湊も、海斗くんや司くんも、代わる代わるうちへ来てくれて、湊と司くんはご飯を作ってくれることもあった。人に支えられて今の私がいるの。だから、また仕事をしようと思ったわ。私が支えられる人がいるなら自分が誰かの助けになれるなら、そういう場所にいたいって。そう思えた」
栞さんはゆっくりと穏やかに話す。
「一年間療養期間を経て、またフルタイムで働こうと思ったんだけど、もとの職場に戻るのは抵抗があって……。みんな戻っておいでって言ってくれたんだけど、どこか気を遣われた状態になるのが嫌で、どうしようかな、って思っているところに静兄様からいくつか仕事の依頼を受けて、それを終えた頃よ。御園生家での仕事依頼をされたのは」
「それが、私の看護師権お手伝いさん……?」
「そう。私は流産しなかったら翠葉ちゃんと出逢ってないわ。これってすごいことでしょう?」
私にははいともいいえとも答えることができなかった。
だって、出逢えたことは嬉しい。でも、流産はいいことではないと思うから。
「これは私の持論なのだけど、何か悪い出来事が起きたとしても、きっとそれだけじゃないんだわ。そこから何か得られるものがあったり、違う何かにめぐり逢うための過程だったりするのよ。だから、私は今の自分を悲観しない」
いつもの穏やかな眼差しではなく、強く芯のある視線を向けられた。
栞さんはゆっくりと穏やかに話す。
「一年間療養期間を経て、またフルタイムで働こうと思ったんだけど、もとの職場に戻るのは抵抗があって……。みんな戻っておいでって言ってくれたんだけど、どこか気を遣われた状態になるのが嫌で、どうしようかな、って思っているところに静兄様からいくつか仕事の依頼を受けて、それを終えた頃よ。御園生家での仕事依頼をされたのは」
「それが、私の看護師権お手伝いさん……?」
「そう。私は流産しなかったら翠葉ちゃんと出逢ってないわ。これってすごいことでしょう?」
私にははいともいいえとも答えることができなかった。
だって、出逢えたことは嬉しい。でも、流産はいいことではないと思うから。
「これは私の持論なのだけど、何か悪い出来事が起きたとしても、きっとそれだけじゃないんだわ。そこから何か得られるものがあったり、違う何かにめぐり逢うための過程だったりするのよ。だから、私は今の自分を悲観しない」
いつもの穏やかな眼差しではなく、強く芯のある視線を向けられた。