光のもとでⅠ
 集計が行われているのは特別教科室棟こと、特教棟の二階中ほどにある視聴覚室だ。
 けれど、今私は二階のテラスから特教棟に入り、入ってすぐのところにある階段を下っていた。
 当然ながら、ひとつ下れば踊り場に出る。
 その踊り場の、二階からは見えない場所に立たされ質問を受けることになっていた。
「あなた、藤宮くんのなんなわけ?」
「……先輩、集計は?」
「そんなの、呼び出す口実に決まってるでしょう?」
 柔らかにウェーブした髪の毛をポニーテールしている人が笑う。
「口実……?」
「なんでもいいから、早く質問に答えてくれないっ!?」
「あの……藤宮くんとはどの藤宮くんでしょう……?」
 私の周りには藤宮くんと呼ばれる人や藤宮さんと呼ばれる人が複数いる。
 この場合、先輩が「藤宮くん」と言うのだから、ツカサか海斗くんが該当すると思うのだけど――。
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