光のもとでⅠ
「何にせよ、彼女でもなく付き合ってもいないなら、公の場で藤宮先輩を呼び捨てるのはやめたほうがいいよ。それだけで藤宮先輩ファンを刺激しちゃうから」
「……そうみたいね? ねぇ、河野くん、ひとつ質問してもいいかな?」
「もう、この際なんでも訊いてっ! なんでも教えるから」
「後輩と先輩であっても、友達だとしたら、それでも名前の呼び捨てっておかしいこと?」
河野くんは少し悩んでからこう答えた。
「人による。もしこれが美都先輩や加納先輩なら、なんの問題もないと思う。御園生ちゃんの場合、相手が藤宮先輩だから問題なんだ。あの人、無愛想だしほとんど女子と会話すらしないけど、幼稚部からずっと王子なんだよね。ついた通り名が孤高の王子。それなりにファンもいるけど当の本人は彼女を作ったこともなければ女子には無関心。そんな人だからこそ、藤宮先輩のファンたちは安心していられたわけで――言わば、共同戦線を張ってられたんだ。それが御園生ちゃんが現れてからというものの、変化が著しい。そのことにファンが慌て始めたんだ」
「……そうみたいね? ねぇ、河野くん、ひとつ質問してもいいかな?」
「もう、この際なんでも訊いてっ! なんでも教えるから」
「後輩と先輩であっても、友達だとしたら、それでも名前の呼び捨てっておかしいこと?」
河野くんは少し悩んでからこう答えた。
「人による。もしこれが美都先輩や加納先輩なら、なんの問題もないと思う。御園生ちゃんの場合、相手が藤宮先輩だから問題なんだ。あの人、無愛想だしほとんど女子と会話すらしないけど、幼稚部からずっと王子なんだよね。ついた通り名が孤高の王子。それなりにファンもいるけど当の本人は彼女を作ったこともなければ女子には無関心。そんな人だからこそ、藤宮先輩のファンたちは安心していられたわけで――言わば、共同戦線を張ってられたんだ。それが御園生ちゃんが現れてからというものの、変化が著しい。そのことにファンが慌て始めたんだ」