光のもとでⅠ
私は、一学期もこうして試合をするツカサを見ていたのだろうか。
手帳に挟まっていたツカサの写真……。
本当は思い出せそうなのではなく、ただあの写真を見ているから何か知っている気がするだけではないのか。
あの一シーンを切り取った写真でしか球技大会のことを知らないのに、その一枚だけで知ったような気になっているのか。
実際には何を思い出しそうなわけでもなく――。
「あら、翠葉?」
思考のドツボに嵌りそうなとき、凛とした桃華さんの声が聞こえた。
「集計は?」
「粗方片付いたよ」
そう答えると桃華さんの動作が止まった。それから表情も。
説明が足りなかったかな、と思って補足する。
「あとは準決勝と決勝戦の集計しか残っていないから、もう視聴覚室には誰もいないと思う」
手帳に挟まっていたツカサの写真……。
本当は思い出せそうなのではなく、ただあの写真を見ているから何か知っている気がするだけではないのか。
あの一シーンを切り取った写真でしか球技大会のことを知らないのに、その一枚だけで知ったような気になっているのか。
実際には何を思い出しそうなわけでもなく――。
「あら、翠葉?」
思考のドツボに嵌りそうなとき、凛とした桃華さんの声が聞こえた。
「集計は?」
「粗方片付いたよ」
そう答えると桃華さんの動作が止まった。それから表情も。
説明が足りなかったかな、と思って補足する。
「あとは準決勝と決勝戦の集計しか残っていないから、もう視聴覚室には誰もいないと思う」