光のもとでⅠ
 紅葉祭の準備が詰めに入る九月末――。
 三文棟に向かう途中で久しぶりに激痛発作が起きた。
 薬をすぐに飲んだけれど効果は望めそうになく、テラスで蹲っていると、「大丈夫?」と声をかけられた。
「冷や汗すごいけど……。保健室に連れて行こうか?」
 身体を支えようとしてくれた手に、私は身を竦めた。
「やっ――」
 先輩はすぐに手を引っこめた。
 名前は覚えていない。でも、三年のクラス委員長のふたりということはわかっている。
「ごめ、なさい……。身体中痛くて――」
 余裕なんて全然ない。
 でも、せっかく話せるようになった人たちにひどいことはしたくない。
「指宿(いぶすき)、生徒会に連絡して」
 女子の先輩がそう言うと、男子の先輩が連絡を入れてくれ、ツカサが来てくれることになった。
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