光のもとでⅠ
 ゲストルームには物理的な鍵はかかっていない。
 指紋認証をパスさえすればドアは開く。
 その手法で開けたのだろう。
 玄関で音がした。
「先輩、左の部屋です」
 ツカサの声がすると、すぐに茜先輩が入ってきた。
「翠葉ちゃんっ、大丈夫っ!?」
「あ……えと……」
 まだ視界が回復しておらず、ラグにコロンと横になったままだ。
 ここで「大丈夫」と答えるとツカサの信頼度が減る……。
「どうせ、段階も踏まずに立ち上がったんだろ」
 手にあった携帯を取られたのは、きっとバイタルを見るため。
「先輩、大丈夫です。あと数分もすれば落ち着くから。俺、飲み物淹れてきます」
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