光のもとでⅠ
「あ、私やる」
 つい慌てててキッチンに入ってしまった。
 ゲストルームのキッチンだけは独立した作りになっている。
 この部屋からは見えないリビング間続きのフロアから、茜先輩が弾くピアノの音が聞こえてくる。
 戸棚の前に立ち、ちょうど私の目の高さにあるカップたちを眺める。
 ハーブティーなら耐熱ガラスの透明なのがいいかな。
 カップを選ぶことだけに神経を集中させようとすると、
「翠」
 自分を呼ぶ声が、近すぎる場所で聞こえてびっくりした。
「な、何っ!?」
 振り返ると、真後ろにツカサが立っていた。
 距離が近すぎて、真上を見上げるようにツカサの顔を見た。
「訊きたいことがある」
 訊きたいこと……?
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