光のもとでⅠ
 でもね――。
「ツカサ、私、揉めごとが好きなわけじゃないのよ? でもね、譲れないことは譲れないの」
 初めて呼び出されたときからずっと考えてきた。
 生徒会を辞めればいいとか、成績を落とせばいいとか。
 成績を落とすなんてそんなことはしたくない。
 でも、それだけが譲れないわけではなかった。
 ツカサとのこの距離は、この関係は手放したくないものだった。
 イベント前で一緒に行動することが多いというのは事実だけれど、少し言い訳も入っていた。
 夏休みにずっと一緒にいてくれたツカサの側にいるのはとても居心地がよくて、安心ができる場所で――それを手放すことができなかっただけ。
「一緒にいるところを見ると不愉快だとか、図々しいとか、そう思わているみたいなんだけど、人に言われて自分が大切だと思っている関係を崩すつもりはないの。自分からは手放したくないの」
 これはきっと、最大のわがまま。
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