光のもとでⅠ
「はっ!?」
「えっ!?」
「当たり前でしょ? そのくらいの対価は払ってもらわなくちゃ!」
 茜先輩はにこりと笑って伴奏を弾き始めた。
 歌い出しはすぐにやってくる。
 それに遅れることなくツカサが歌い始めた。
 ツカサが歌を歌うところなんて想像できなかったけど、ツカサの歌声はとても優しく響いた。
 歌詞がびっくりするほどさっきまでの自分たちに重なって、急にこの曲に愛着がわいた。
 私は人を傷つけるのも怖いけど、人を傷つけて自分が傷つくのだってすごく怖い。
 未来はまだ見えないけど、ツカサが側にいてくれて、不安になったときに手をつないでもらえたら大丈夫な気がするの。
 私はいつも助けられてばかりで、いつも話を聞いてもらってばかりだけど、いつか――いつかは私もツカサの助けになれるかな。
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