光のもとでⅠ
 この手をつないでいたら、いつかはそうなれるかな。
 そんなことを思いながら歌った。
 ツカサの声と自分の声が重なると鳥肌が立つ。
 歌なんて歌うような人には見えないし、音楽なんて興味の欠片もないのかと思ってた。
 でも、ツカサの音程はとてもいい。
 ツカサ、桃華さんに嫌みな人だと言われても仕方がないと思うよ?
 だって、なんでもできてしまうんだもの。

 歌が終わると、
「ふたりとも声の相性いいのね? これにはちょっとびっくり! 欲を言えば、翠葉ちゃんの声がもっと出るといいなぁ……。まこのあたりは本番までがんばって練習して、どうにもならない部分はミキサーのほうで調整してもらおう」
 ちょこちょことチェックされた部分の歌いなおしをしてから、冷めてしまったお茶を飲むことにした。
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