光のもとでⅠ
 そう言われてみれば、五時半を回っても栞さんが来ないのはおかしなことだった。
 日課になっているのに、どうしてもイレギュラーな予定が入るとそのほかのことに目が行かなくなる。
「ちょっと待ってくださいね」
 携帯の通話口を押さえ、
「栞さんがあとどのくらいかかる? って。十階でツカサの分のご飯も用意してくれているみたいなんだけど……」
「……あと三回。だから三十分くらい」
「了解。……栞さん、あと三十分くらいで上がります」
『じゃ、そのくらいに用意して待ってるわ。あ、十階っていうのは静兄様の家だから、そのまま中の階段であがってきてもらって大丈夫よ』
「はい、わかりました」
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