光のもとでⅠ
「何こんなところから眺めてるの?」
 どうやら栞さんもトイレに行っていたらしい。
「なんだか、近寄るに近寄れない感じです」
 辺りを見回してそう言うと、
「そうねぇ……」
 と、栞さんも周りを見渡す。
 十メートルほど先にいる四人はそこかしこの視線を独占していた。
 そんな状況を確認してため息をつくと、
「自慢しちゃおう!」
 栞さんは私の手を引っ張って走りだした。
 途中で手を放され、栞さんは昇さんのもとへと一目散。
「お待たせ」
 と、昇さんの腕に自分の腕を絡めた。
 すごく絵になる夫婦。仲良しさん。
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