光のもとでⅠ
 大理石の床はどこを見てもぴかぴか。
 照明や採光の計算が絶妙で、すてきな建物は歩いているだけでも飽きなかった。
 それは蒼兄も同じようで、ふたりして似たり寄ったりのところに視線を向ける。
 少し開けたところに出ると円形の噴水があり、その向こう側にはチャペルがあった。
 秋だというのに花が咲き乱れる庭園。
「きれい……」
「リィはこういうの好きそうだよね」
 隣に並んだ唯兄に顔を覗き込まれる。
「うん、大好き! 噴水もきれいね……。水がキラキラしてる」
 空に向かって伸びる水柱の先端には、流動性のあるガラス玉みたいな水がキラキラとはじけ飛ぶ。
 噴水にはバラの花びらや花そのものが浮かんでいて、とても華やかな演出をされている。
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