光のもとでⅠ
 ふと考えて、それじゃだめだと思った。
 こんなにきれいな景色が見えるところだったら居座りたくなる人がいるかもしれない。
 病院に長居は無用だ。
 でも、病気で外に出られない患者さんにはとても嬉しい環境だろうな。
 そんな病室があったとして、利用できる患者さんなんてきっと一握り。
 そう思うと、やっぱり現実的じゃないな、と思った。



「翠葉、そろそろ本館へ戻ろう」
「…………蒼兄?」
 自分のいる場所を認識してから目を開ける。と、
「俺もいるよー! 迎えに来たんだ」
 蒼兄の隣には唯兄がいた。
「秋斗さんは……?」
「ここにいるよ」
 少し離れた場所、ソファから声がした。
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