光のもとでⅠ
34
「旅行中、これは俺が預かっているよ」
秋斗さんが「これ」と指したのはカメラだった。
「はい……」
たぶん、今はカメラが目につく場所にないほうがいい。
手に取ったところで何を撮ることもできず、また悩んでしまいそうだから。
ポンチョを着ようとしたとき、同じ場所にかけられていた秋斗さんのジャケットが目についた。
ふと、そのジャケットに手を伸ばしてしまう。
「どうかした……?」
秋斗さんに尋ねられ、
「香りが……」
「あぁ、香水かな?」
「香水、ですか?」
「うん、ローパケンゾーっていう香水。メンズとレディースとあるんだけど、俺はレディースの香水をつけてる。……もしかして、何か思い出した?」
秋斗さんの真っ直ぐな視線に申し訳なく思う。
秋斗さんが「これ」と指したのはカメラだった。
「はい……」
たぶん、今はカメラが目につく場所にないほうがいい。
手に取ったところで何を撮ることもできず、また悩んでしまいそうだから。
ポンチョを着ようとしたとき、同じ場所にかけられていた秋斗さんのジャケットが目についた。
ふと、そのジャケットに手を伸ばしてしまう。
「どうかした……?」
秋斗さんに尋ねられ、
「香りが……」
「あぁ、香水かな?」
「香水、ですか?」
「うん、ローパケンゾーっていう香水。メンズとレディースとあるんだけど、俺はレディースの香水をつけてる。……もしかして、何か思い出した?」
秋斗さんの真っ直ぐな視線に申し訳なく思う。