光のもとでⅠ
 かぶる――何と?
 どこかのホテル――それはいつ?
 ――わからない。
「……ん、翠葉ちゃん」
「え? あ――」
 少し強めに握られた手に気づくと、みんなの視線が自分に集っていた。
「ごめんなさい、なんでもないです……」
「翠葉ちゃん、ここのシェフの料理もとても美味しいのよ? 美味しいものをいただきましょう?」
 ピンクベージュのシックなドレスを着た栞さんに言われる。
 首には二連のパールネックレス。
 オフホワイトにシルクのような光沢を着せたパールは栞さんにとても似合っていた。
< 3,484 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop