光のもとでⅠ
「歩きながら考えごとは危ないよ?」
 席を立った秋斗さんに笑われる。
 テーブルにはカップが置かれていた。
 それ見て少しほっとする。
 やっぱり、ここは人を待つのには寒すぎる。
「木田さんがハーブティーを持ってきてくれたんだ。だから、寒くはなかったよ。さ、行こうか」
 手を差し出され、その手をじっと見てから手を乗せた。
「どうかした?」
「いえ……ただ、何か思い出せそうな気がするから――ひとつひとつが見過ごせなくて……」
「とりあえず、今からは足もとだけに注意を払ってね?」
「はい」
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