光のもとでⅠ
「翠葉ちゃんを警護していたとき、家まで送ったことがあった。そのとき、君はキッチンでハーブティーを淹れようかコーヒーを淹れようか悩んでいたんだ。そのとき、俺はこうやって背後から抱きしめて『ハーブティーがいいな』って耳もとで囁いた」
 今も同じように耳もとで優しく囁かれている。
「あっ、秋斗さんっっっ。心臓がうるさくなるから困りますっっっ」
 必死にそう言うと、秋斗さんはクスクスと笑いながら私から離れた。
「あのときも君の心臓はバクバクいってたよ。俺がからかっているのがばれて、腕の中で『からかうなんてひどい』って抗議された。……そのときにしたキスは二度目かな。唇以外を含めるなら三度目だけど」
「……え?」
「図書棟の仕事部屋でしたキスは右頬に。翠葉ちゃんが俺を好きと認めたときには唇に。そしてこれが唇へのキス、二度目だった」
 話を聞くだけでも顔が火照る。
 でも、知りたい――。
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