光のもとでⅠ
 頭を放されて秋斗さんを見上げると、
「頭や額へのキスくらいは許してね」
 き、キスっ!?
 反射的に両手で頭を押さえたけれど、時すでに遅し……。
 だいぶ暗闇に目が慣れてきて、秋斗さんの表情も読み取れる。
 秋斗さんは私を見て、とても穏やかな表情をしていた。
 たぶん、今まで見た中で一番穏やかな笑顔。
 優しいとか甘いとかそういうことではなく、穏やか――。
 ベッドの脇にサイドテーブルはあるけれど、枕の上部にもフラットなスペースがあり、そこにトレイや携帯を置いていた。
 今は、ふたりともベッドに仰向けになって寝ている。
 無防備って言われてしまったけど、秋斗さんに言われたとき、「そのとおりだな」って思ってしまったの。
 ラグに座って上を見るよりも、ベッドに横になって空を見たほうが首が疲れないな、って……。
< 3,503 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop