光のもとでⅠ
 灯台は人が作り出したもの。
 星空はずっと昔から、人間よりも先にそこに在る。
 でも、ふたつはどちらも道標になるのだ。
「星が降ってきたら大変だけど、でも降ってきたらきれいでしょうね」
 きっと光のレースカーテンのように見えるに違いない。
 オーロラとはちょっと違う感じ。
「俺は降ってくるよりも、手が届きそうで届かないって感覚のほうが強いかな」
 秋斗さんが思わず手を伸ばしてしまうのもわからなくはない。
 本当に手が届きそうに思えた。
 降ってきそうな星を見ていると思い出すことがある。
 あれは退院前日の花火大会。
 花火はもっと近くに見え、本当に降ってきそうだった。
 ――「本当に降ってきたらきれいどころか焼けどすると思うけど?」
 そう言ったのはツカサ。
 なんてリアリストなんだろう。
 でも、それが妙にツカサらしい。
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