光のもとでⅠ
「抱きしめられるのはドキドキするけど、どこかほっとしちゃうんです。あたたかくて……ひとのぬくもりに触れてほっとする。だから、もしかしたら、秋斗さんや自分が思っているほどには困ってないのかもしれません」
 花火を見たくてツカサに抱っこしてもらっときはすごくドキドキしてどうしようかと思ったけど、それはきっと、ツカサの顔も見えて、自分の顔もツカサに見えてしまうから。
 ツカサは顔色ひとつ変えないのに、自分はツカサのきれいな顔だちや華奢なのにちゃんと男子で力があるんだ、なんてことを意識して頬が熱くなってしまった。
 あのとき、次々と花火が打ち上げられなかったら、私はずっとツカサを見ていた気がする。
 そして、目が合って「何?」と訊かれて困るのだ。
 あ――ひとつ答えが出た。
 前から抱きしめられるのと、後ろから抱きしめられるのは違う。
 それに抱っこと抱きしめられるのも違う。
 そういうことかな……?
 でも、誰でも大丈夫、というわけではないと思うし……。
 その差は何かな?
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