光のもとでⅠ
「あのあと、ちょっと揺さぶりをかけようと思って、翠葉ちゃんと距離を置くつもりだったんだけど……」
「……揺さぶり、ですか?」
「そう。だって、翠葉ちゃんは俺のことが好きでしょう? だから、少し会わなかったら会いたくなって会いに来てくれるかな? と思って」
クスクスと笑いながら言う秋斗さんに愕然とする。
「でも、実際には俺が無理だった。相変わらず君のバイタルは気になるし、保健室かと思えば湊ちゃんに確認を取らずにはいられない。お昼ご飯食べられてるかな、シュークリームなら食べられるかな――何をしていても君が気になって仕方ないんだ」
真っ直ぐに向けてくる視線に私は捕らわれた。
「そんな状態じゃ仕事にも手が付かない。だからね、会いたくなったら会いに行くことにした」
私が何も言えないでいると、
「若槻のことが気になるから来たっていうのもあるんだけど、そっちはついでかな?」
と、小気味いいくらいにクスクスと肩を竦めて笑う。
すると廊下から声がした。
「秋斗さん、相変らず人をダシに使うのがうますぎます」
その声は若槻さんのもので、若槻さんの後ろには呆れ顔の蒼兄が立っていた。
恐る恐る若槻さんに視線を戻すと、若槻さんはじっと私を見ていた。
部屋に一歩足を踏み入れて、
「お姫さん、ごめんね……」
ばつの悪い顔で謝られる。
「……揺さぶり、ですか?」
「そう。だって、翠葉ちゃんは俺のことが好きでしょう? だから、少し会わなかったら会いたくなって会いに来てくれるかな? と思って」
クスクスと笑いながら言う秋斗さんに愕然とする。
「でも、実際には俺が無理だった。相変わらず君のバイタルは気になるし、保健室かと思えば湊ちゃんに確認を取らずにはいられない。お昼ご飯食べられてるかな、シュークリームなら食べられるかな――何をしていても君が気になって仕方ないんだ」
真っ直ぐに向けてくる視線に私は捕らわれた。
「そんな状態じゃ仕事にも手が付かない。だからね、会いたくなったら会いに行くことにした」
私が何も言えないでいると、
「若槻のことが気になるから来たっていうのもあるんだけど、そっちはついでかな?」
と、小気味いいくらいにクスクスと肩を竦めて笑う。
すると廊下から声がした。
「秋斗さん、相変らず人をダシに使うのがうますぎます」
その声は若槻さんのもので、若槻さんの後ろには呆れ顔の蒼兄が立っていた。
恐る恐る若槻さんに視線を戻すと、若槻さんはじっと私を見ていた。
部屋に一歩足を踏み入れて、
「お姫さん、ごめんね……」
ばつの悪い顔で謝られる。