光のもとでⅠ
 だからこそ、ファンの人たちは初版の写真集を手にしたいわけで、プレミア度が増すのだ。
 ファンとしては複雑な心境……。
 もっとたくさんの人に久遠さんの写真を見てもらいたいけれど、それで自分が初版を手にできなくなる日がくるのかと思うとちょっと切ない。
 その後、木田さんの説明で知る。
 今の季節はお昼近くにならないと、この光がバージンロードに映ることはないと。
「まだこのパレスでもお嬢様がリメラルドであることは伏せられています。が、いつか撮影旅行に来ていただける日を楽しみにしております」
 急にお仕事の話になり少し困惑する。
 昨日だって写真を撮る時間はたくさんあったのに、一枚も写真を撮ることができなかった。
 でも、さっきは写真を撮りたいと思った。
 カメラは好きだし写真を撮りたくないわけじゃない。
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