光のもとでⅠ
「お嬢様はまだお若いのですから、焦る必要などないのですよ」
 その言葉は私の心をふわりと包み込んでくれた。
「……また、こちらにうかがってもいいですか?」
 いつ来れるかなんてわからない。
 そのときに写真が撮れるようになってるかもわからない。
 でも、ここは好き。木田さんも大好き。
「もちろんです。藤倉からでしたら、支倉で乗り換えて特急電車で一時間くらいです。その際には白野の駅までお迎えにあがります」
 木田さんはスーツの内ポケットから皮のカードケースを取り出し、
「私の名刺です。ホテルの番号も私個人の携帯番号もアドレスも記載してあります。いつでもご連絡ください」
 名刺をいただくのは二回目。
 初めていただいたのは蔵元さん――あ……。
「木田さん、ありがとうございますっ」
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