光のもとでⅠ
「どこか改めて見ておきたい場所はない?」
 秋斗さんに訊かれ、少し考える。
 チャペルは今朝見たし、森はやめておいたほうがいい気がする。
 きっと、またカメラのことを考えてしまうと思うから。
 何よりも、身体を冷やしたらダイレクトに痛みへつながる。
「本館を少し見て回りたいです」
 屋内なら寒くもないし、照明や調度品を見るだけでも十分楽しめそうだ。
「それなら木田さんか若槻が一緒がいいかもね」
 木田さんはわかる。でも、どうして唯兄……?
「昨日、くまなく探検したみたいだから」
 と、秋斗さんはクスクスと笑った。
「でも、十時にはここを出る予定だから、そのつもりでね」
「はい、わかりました」
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