光のもとでⅠ
「いえっ、あのっ――私こそごめんなさい」
「っつか、お姫さん悪いことしてないじゃん。俺が勝手に動揺してるだけだから」
そこまで言うと、若槻さんは深呼吸をした。
「申し訳ないのですが、慣れるまでちょこっとリハビリさせてください」
ペコ、と腰からきっちりと頭を下げた。
その行動に驚いて思わず体を起こしてしまう。
「翠葉っ」
蒼兄の声が聞こえたけれど、すぐに私に手を差し伸べてくれたのは若槻さんだった。
「お姫さん、こういうのは勘弁……」
と、額に汗を滲ませて言う。
「すみません……」
「……本当はさ、妹にもこうしてあげられたら良かったんだけど――」
若槻さんの目は私を見ているけれど見ていない。きっと、妹さんのことを見ている目だ。
「こうやって手を差し伸べることすらしなかったんだ」
そのあとには思いもしないことを言われる。
「お姫さん、悪いんだけどしばらく俺の妹になってくんないかな?」
「……私が妹さん、ですか?」
「そう、少しの間だけ。うん、俺が満足するまでというか、やってやりたいと思っていたことをすべてやり尽くすまで」
思わず蒼兄を仰ぎ見る。
すると、真一文字に口を引き結んだ蒼兄が、「聞いてあげな」と言うかのように大きく一度頷いた。
「私を見ていてつらくないですか?」
「つらいよ。……でもさ、逃げてばかりもいられないみたい」
秋斗さんの言ったとおりだと思った。そこで躓いているだけの人じゃない――。
ちゃんと乗り越えようとしているんだ……。
「今回はオーナーと秋斗さんに嵌められた感満載……。俺、お姫さんが体弱いなんて聞いてないし、引越しだって打ち合わせの都合上だと思ってた。今日だって軽くパソコン設定出張作業くらいに思ってたのにさ」
と、愚痴たれる。
「っつか、お姫さん悪いことしてないじゃん。俺が勝手に動揺してるだけだから」
そこまで言うと、若槻さんは深呼吸をした。
「申し訳ないのですが、慣れるまでちょこっとリハビリさせてください」
ペコ、と腰からきっちりと頭を下げた。
その行動に驚いて思わず体を起こしてしまう。
「翠葉っ」
蒼兄の声が聞こえたけれど、すぐに私に手を差し伸べてくれたのは若槻さんだった。
「お姫さん、こういうのは勘弁……」
と、額に汗を滲ませて言う。
「すみません……」
「……本当はさ、妹にもこうしてあげられたら良かったんだけど――」
若槻さんの目は私を見ているけれど見ていない。きっと、妹さんのことを見ている目だ。
「こうやって手を差し伸べることすらしなかったんだ」
そのあとには思いもしないことを言われる。
「お姫さん、悪いんだけどしばらく俺の妹になってくんないかな?」
「……私が妹さん、ですか?」
「そう、少しの間だけ。うん、俺が満足するまでというか、やってやりたいと思っていたことをすべてやり尽くすまで」
思わず蒼兄を仰ぎ見る。
すると、真一文字に口を引き結んだ蒼兄が、「聞いてあげな」と言うかのように大きく一度頷いた。
「私を見ていてつらくないですか?」
「つらいよ。……でもさ、逃げてばかりもいられないみたい」
秋斗さんの言ったとおりだと思った。そこで躓いているだけの人じゃない――。
ちゃんと乗り越えようとしているんだ……。
「今回はオーナーと秋斗さんに嵌められた感満載……。俺、お姫さんが体弱いなんて聞いてないし、引越しだって打ち合わせの都合上だと思ってた。今日だって軽くパソコン設定出張作業くらいに思ってたのにさ」
と、愚痴たれる。