光のもとでⅠ
 フロントへ行くと、昇さんが壁に寄りかかってデミタスカップを持っていた。
 栞さんは料理長のところへ行っているのだとか。
 そこへ秋斗さんがボーイと一緒にやってきた。
 秋斗さんが持っていたのはハープとカメラ、ボーイは秋斗さんのボストンバッグを持っている。
「わ、ごめんなさいっ」
 すっかり忘れていた。
 ハープなんて嵩張るものを持ってきたくせに、一度も手に取らなかったし……。
「翠葉ちゃん、気にしないで? それから、帰りのペアの件も聞いてる。一応、行きに寄ったサービスエリアに十一時頃、って予定ではあるけれど、翠葉ちゃんたちは翠葉ちゃんのペースで帰ってきていいから」
「はい……」
 直接的な言葉は使われなかったものの、なんとなく理由を知られている気がして恥ずかしい。
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