光のもとでⅠ
「それから、若槻なんだけどね……」
 と、会話を続ける。
「帰りにちょっと修行に出してくるから、帰ってから二週間ちょっとは留守になるんだ。ごめんね」
「……修行、ですか?」
「うん。もう少し頼れる人間にしてくるから」
 そう言ってにこりと笑った。
「因みに、若槻は何も知らないから内緒ね?」
 人差し指を口の前に立てウィンクする様がモデルさんみたいに見えた。

 車に乗ってから唯兄の話を蒼兄に訊くと、
「それ、本当は俺がやる予定だったんだ」
「修行って何?」
「先輩と蔵元さんが唯に車の免許を取らせようとしてて、それには俺も父さんも賛成だったから、あらかじめ書類関連は用意してたんだ」
 車の教習所……?
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