光のもとでⅠ
 保健室のドアをノックしてから入ると、「おかえり」と当たり前のように迎え入れられる。
 その言葉もいかがなものか、と思わなくもないけれど、自分がいてもいい場所がここにはある、とわかる言葉で迎えられるとほっとしてしまう。
「検査結果はこっちにも送ってもらったけど、異常はなかったみたいね」
 先生のノートパソコンにはエコーの画像が表示されていた。
 もうなんとも言えない気分だ。
 内診台という診察台に上がってからというものの、あれ以上の羞恥と拷問はないと思った。
「思い出して赤面するんだからかわいいわ」
「先生っ、あれ、すごく恥ずかしいうえにすごく痛かったですっっっ」
 もう二度とやりたくない……。
「あら、そんなに痛かった?」
「先生もやったことある?」
「あるわよ」
「……すごく痛くて、痛いって叫んじゃいました」
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