光のもとでⅠ
 婦人科はほかの科とは少し違ったつくりで、診察室とは別に内診室と書かれているドアが間隔狭くずらっと並んでいた。
 見かけはトイレの個室が並んでいるようにも見えた。
 中は長方形のスペースで、それこそ、着替えるスペースと内診台がある程度。
「痛い」と叫んだあの声は、隣の診察室にも聞こえていたんじゃないだろうか……。
 診察をしてくれる先生が知っている人でも知らない人でも恥ずかしいのは変わらなかっただろうし、痛いのも変わらなかったと思う。
「まぁ、翠葉は人よりも痛みの感知度が鋭いからね。その分痛かったのかもしれないわ。でも、検査に異常が無かったのなら、当分は内診なんて必要はないし、ピルの治療にも入れる」
 そう言って見せられたのは、薬のシートがビニールのケースに入れられたものだった。
 ビニールのケースには曜日が書かれている。
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