光のもとでⅠ
「最初は司との歌か、私との歌から合わせに入るから、必ずどっちかと一緒よ。それに、基本、翠葉ちゃんの歌のピアノ伴奏には私が入るから」
 茜先輩がいてくれるのは心強い。でも、人前で歌うことに変わりはなく……。
 本番ともなれば全校生徒の前だ。
 なんだかとても大きな山が目の前にそびえた気分。
 おかしい……。
 お話を聞いた時点でわかっていたはずなのに、山は急にそびえるわけがないのに。
 歌の練習はしていたのに、忙しすぎて、歌の周りにあるあれやこれをすっかり忘れていた。

 今は図書室に生徒会のメンバー以外の人が入ってくることはないけれど、中間考査が終われば放送委員の人たちや、関係者が出たり入ったりの場所になるという。
 そしたら飛鳥ちゃんともたくさん会えるかな、なんて一瞬頭をよぎったけれど、きっと間違いなく忙殺されてそれどころではないだろう。
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