光のもとでⅠ
「嵐、今からおまえも一時会計」
「はっ!?」
 数式と睨めっこしていた嵐子先輩が顔を上げる。
「別に難しいことじゃない。優太がやっていた収支報告とリトルバンクの照らし合わせ作業だ。残り少ないから、こっちのペースに流されずにやれ。ゆっくりでいいから、絶対に間違えるな。今まで作業している人間たちの目の前で二時間は勉強したんだ、そのくらいは手伝えるよな?」
 有無を言わせない言葉。
「わかったわよぅ……やるわよ」
 嵐子先輩は開いていた問題集を片付け、優太先輩がやっていた作業を引き継いだ。
「こっちの残りは三人でやれば二時間程度で終わらせられるだろう」
 その言葉に嵐子先輩が目を剥く。
「ええええっ!? だってそれ、去年の体育祭のよりも大変な作業なんでしょっ!?」
「最初に言った。こんな作業に三日もかけるつもりはない」
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