光のもとでⅠ
 なのに、この子はぬいぐるみというだけではなく、目覚まし時計機能までついているのだ。
 背中部分にチャックがついており、中に黒くて四角いものが入っていた。
 それはオーソドックスな音声録音タイプの目覚まし時計で、録音されていたのはもちろん唯兄の声。
『リィっっっ! 大変、起きなくちゃっっっ!』と何回も繰り返す。
 止めるまで延々と言っているのだ。
 携帯のメールで「ありがとう」と送ったけれど返信はない。
 髪の毛を乾かさないで寝ると蒼兄に怒られるなぁ、と思いながらラヴィを抱えてベッドに横になっていた。
 ちょっと体力消耗気味……。



「翠葉、ご飯よ」
 声が湊先生……。
 目を開けると、湊先生が仁王立ちしていた。
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