光のもとでⅠ
「静お兄様はお仕事が忙しいみたいだけど、合間に顔を出せたら……って。そのときにはアンダンテのケーキを持ってきてって頼んじゃったわ」
 静さん――。
 あの電話のあとは一度も会っていないし連絡もとっていない。
 どんな顔をして会えばいいのかな……。
「海斗、起きろ。上に戻って勉強」
「んー? 夕飯のあとはここじゃないのー?」
 海斗くんが私とツカサを交互に見る。
「それは明日から」
 そう言って静かにツカサが立ち上がる。
 前もってツカサとそんな話をしていたわけじゃない。
 ただ、察してくれただけ。
 今日は自分のペースで勉強をしたいということを。
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