光のもとでⅠ
「あ、それは……」
 自分の持っているメモ帳に公式と途中式から答えまでを記す。
 そのうえで問題を解くコツを話すと、
「ありがとう。やっと納得できたわ」
 と、にこりと笑ってくれた。
 その笑顔が好きなのに。大好きなのに――。
「これも今のと同じよね?」
 ほかの問題を指差し訊かれる。
「うん、そう……」
 説明を終えた頃、数学の先生が入ってきた。

 ノートを取りながら、先生が進めるままに教科書の問題を解く。
 でも、実のところ、頭の七十パーセントくらいは違うことを考えていた。
 高崎さんに言われたこと――。
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