光のもとでⅠ
――「彼は翠葉ちゃんに対して虫唾が走るって言ったんじゃないよ? もう一度言われたことを思い出してごらん?」
――「司様は翠葉ちゃんの体調を優先するって言ってたし、それで翠葉ちゃんが葛藤しても悩んでも止めるって言ってたよね? それはさ、翠葉ちゃんをひとり置いていくつもりはないってことでしょう?」
――「わかった? 侮るなっていうのは、自分たちは中学の人間たちとは違うんだから、いらぬことで悩むな、葛藤するな、ってことじゃない? ま、究極の思考翻訳だけどさ」
それらは思い出せるのに、肝心のツカサの言った言葉が思い出せない。
「虫唾が走る」――その言葉だけが頭をぐるぐると回っている。
ほかに思い出せることといったら、冷たい視線と冷めた声音。
どうしよう――。
ノートを取る手まで震え始めた。
――「司様は翠葉ちゃんの体調を優先するって言ってたし、それで翠葉ちゃんが葛藤しても悩んでも止めるって言ってたよね? それはさ、翠葉ちゃんをひとり置いていくつもりはないってことでしょう?」
――「わかった? 侮るなっていうのは、自分たちは中学の人間たちとは違うんだから、いらぬことで悩むな、葛藤するな、ってことじゃない? ま、究極の思考翻訳だけどさ」
それらは思い出せるのに、肝心のツカサの言った言葉が思い出せない。
「虫唾が走る」――その言葉だけが頭をぐるぐると回っている。
ほかに思い出せることといったら、冷たい視線と冷めた声音。
どうしよう――。
ノートを取る手まで震え始めた。