光のもとでⅠ
 午前授業がすべて終わり、ホームルームも終わった。
 はっと思い出したように空太くんの席を見たけれど、すでに席を立ったあとで、ドアに目をやると空太くんが教室を出るところだった。
 咄嗟にその背を追いかける。
「翠葉っ!?」
 後ろから桃華さんに呼ばれたけど、ごめん――。
 今は空太くん……。

 ほんの少し走ったら、階段を下りている空太くんに追いついた。
 周りにはほかのクラスの人がいて戸惑ったけれど、今話を聞けるのは空太くんしかいない。
 両手をぎゅっと握って、精一杯の声で呼び止めた。
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