光のもとでⅠ
「好きな人がいる学校は――楽しくて幸せで……それと同じくらい怖い」
 自然と視線が落ちる。
 自分でもわかっていること、認めていること。
 それでも、口にするのは怖い――。
 そのとき、目の前に手が差し出された。
「っ……!?」
「必要なら貸すけど」
「…………」
「この手も取らないわけね」
 ツカサは自分の左手をまじまじと見てから、
「じゃ、強制で」
 と、私の右手を掴んだ。
 私の心臓は駆け足を始めるのに、ツカサは何食わぬ顔で歩き始める。
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