光のもとでⅠ
 私が怖いのは、今の場所で中学のときと同じ状況になることだけで、誰かが中学の同級生と同じなんて、そんなふうに思っているわけじゃないんだよっ!?
 慌てて否定しようとしたら、先にツカサが口を開いた。
「でも、違う……。翠はここを中学と一緒だなんて思ってない。翠が見て怖がっているのは幻影に過ぎない」
「げん、えい……?」
「そう、過去に起こったことを現実に錯覚しているだけ。幻影――間隔の錯誤によって実際には存在しないのに、存在するかのように見えるもの。まるで現実に存在しているかのように、心の中に描き出されるもの。遠い過去の情景や願望から作り出される将来の像など……」
 感覚の錯誤――。
 それなら頷ける。
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