光のもとでⅠ
人はイコールになっていないけど、状況だけがかぶってしまう……。
「翠……」
ツカサは体と一緒に真っ直ぐな視線を私に向けた。
「『今』を見ろ。過去の出来事から得た経験は『今』や『未来』に生かされる。でも、翠が中学で味わってきた思いは今の翠に何ひとついいものとして生かされない。……なら、『今』を見て、この先に生かせ」
思わず唇を噛みしめる。
それと同時に、つながれている右手にも力が入った。
それまで、ツカサに取られただけの手には自分の力は作用していなかった。
その手に力をこめる。
「でもね、怖いって思っちゃうの。いくら『今』を見ようとしても、中学のときと違う宝物をたくさん見つけても、何度上から色を塗りなおしても、下にある色が浮き上がってきちゃうの――」
「翠……」
ツカサは体と一緒に真っ直ぐな視線を私に向けた。
「『今』を見ろ。過去の出来事から得た経験は『今』や『未来』に生かされる。でも、翠が中学で味わってきた思いは今の翠に何ひとついいものとして生かされない。……なら、『今』を見て、この先に生かせ」
思わず唇を噛みしめる。
それと同時に、つながれている右手にも力が入った。
それまで、ツカサに取られただけの手には自分の力は作用していなかった。
その手に力をこめる。
「でもね、怖いって思っちゃうの。いくら『今』を見ようとしても、中学のときと違う宝物をたくさん見つけても、何度上から色を塗りなおしても、下にある色が浮き上がってきちゃうの――」