光のもとでⅠ
「今度からハンカチニ、三枚持ち歩けば?」
 なんて言い返そうかな、と思ったら、差し出されたハンカチで涙を拭かれた。
「別に、こんなもので良ければいつでも貸すけど……」
 涙を拭いたあとは私の手に押し付けられた。
 私はその手に引かれるようにして歩き出す。
 木田さん、時を待つ方法もあれば、後ろから押してくれる人もいて、手をつないで一緒に歩いてくれる人もいるみたいです。
 この世界には、まだ私の知らないことがたくさんあって、それを教えてくれる人もいるみたいです――。

「翠、空回る前に俺を呼ぶっていうのは口だけ?」
「え?」
「夏休みにそういう話をしたと思うけど……。何、それも忘れてるわけ? それとも履行されてないだけ? どっち?」
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