光のもとでⅠ
「くっ、早速お兄ちゃんなんて呼ばせて、あんた図々しいわっ」
言って、湊先生が若槻さんの背中をバシバシと叩く。
「妹にお兄ちゃんって呼ばれるのは夢なんですよ」
若槻さんがぼそりと零した言葉を逃がさずに、
「何、おまえ妹さんになんて呼ばれてたの?」
と、秋斗さんが尋ねる。
「黙秘権を行使します……」
「唯、唯くん、唯ちゃん――」
と、蒼兄が敬称を変えて呼んでいくと、そのどれにも反応を示した。
「くっ、まじで!? おまえ、相当かわいかったんだろうな」
秋斗さんはおかしそうに笑った。
確かに若槻さんはきれいだしかわいい。格好によっては女の人にも見えるだろう。
「とにかく、唯ちゃんだけは勘弁」
と、私を見た。
「さすがにそれは言わないです」
「なら良かった」
と、部屋を出ていく。
私はベッドから見送り、栞さんと蒼兄は玄関まで見送りに出た。
それにしても、唯ちゃん、か……。
あの反応からすると、「唯ちゃん」と呼ばれていたのだろう。
ユイちゃん――どこかで聞いたことのある響き。
記憶を手繰り寄せると、きれいなお姉さんがそう口にしているのを思い出した。
どんな顔だったのかは細かく覚えていないけど、とてもきれいな人だと思ったのは覚えている。
『ユイちゃんが来てくれないの』
寂しそうに口にしたお姉さん。
その晩、私はとても懐かしい夢を見た。
言って、湊先生が若槻さんの背中をバシバシと叩く。
「妹にお兄ちゃんって呼ばれるのは夢なんですよ」
若槻さんがぼそりと零した言葉を逃がさずに、
「何、おまえ妹さんになんて呼ばれてたの?」
と、秋斗さんが尋ねる。
「黙秘権を行使します……」
「唯、唯くん、唯ちゃん――」
と、蒼兄が敬称を変えて呼んでいくと、そのどれにも反応を示した。
「くっ、まじで!? おまえ、相当かわいかったんだろうな」
秋斗さんはおかしそうに笑った。
確かに若槻さんはきれいだしかわいい。格好によっては女の人にも見えるだろう。
「とにかく、唯ちゃんだけは勘弁」
と、私を見た。
「さすがにそれは言わないです」
「なら良かった」
と、部屋を出ていく。
私はベッドから見送り、栞さんと蒼兄は玄関まで見送りに出た。
それにしても、唯ちゃん、か……。
あの反応からすると、「唯ちゃん」と呼ばれていたのだろう。
ユイちゃん――どこかで聞いたことのある響き。
記憶を手繰り寄せると、きれいなお姉さんがそう口にしているのを思い出した。
どんな顔だったのかは細かく覚えていないけど、とてもきれいな人だと思ったのは覚えている。
『ユイちゃんが来てくれないの』
寂しそうに口にしたお姉さん。
その晩、私はとても懐かしい夢を見た。