光のもとでⅠ
「あんちゃんがやじゃなければあの人こっちに連れてくるけど?」
「ぜひ頼むよ」
 言いながらすでに唯は行動していた。
 身軽な身体を翻し、秋斗先輩に絡みつく。
 秋斗先輩はそれにどう対応したらいいのかと顔を歪ませながら、こちらのソファにやってきた。
 しかしながら、何を口にするでもない。
「……何も言ってくれないと、こっちも罰が悪いんですけどっ」
 唯が悪態をつく。と、
「あぁ、悪い……。俺、飲み物買ってくる」
 すぐにこの場を去ろうとする。
「先輩っっっ」
「秋斗さんっっっ」
 俺とほぼ同時に唯が声を発した。
 ふたり顔を見合わせる。
 言いたいことはきっと同じ。
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