光のもとでⅠ
彼女と付き合い始めてすぐにでも挨拶に行こうとは思っていたけれど、実際にはそんな間もなくその関係に終止符が打たれた。
「ここに静が来たんだ。君が行方不明になっていたときにね」
「…………」
「俺に会いに来てるんじゃないか、って仕事放ったらかしてわざわざここまで来たんだよ。あの仕事の鬼が。今の時代、電話って便利な代物があるのにさ。意外と抜けてるよね?」
零樹さんはくすくすと笑う。
その姿にも、纏う雰囲気にも覚えがあった。
蒼樹も似たものを持っているけれど、それ以上に翠葉ちゃんの纏う気に似ている。
静さんがここまで来たのは、通信経路を使わないためだろう。
俺が失踪したことをどこにも漏らさないための正攻法。
「ここに静が来たんだ。君が行方不明になっていたときにね」
「…………」
「俺に会いに来てるんじゃないか、って仕事放ったらかしてわざわざここまで来たんだよ。あの仕事の鬼が。今の時代、電話って便利な代物があるのにさ。意外と抜けてるよね?」
零樹さんはくすくすと笑う。
その姿にも、纏う雰囲気にも覚えがあった。
蒼樹も似たものを持っているけれど、それ以上に翠葉ちゃんの纏う気に似ている。
静さんがここまで来たのは、通信経路を使わないためだろう。
俺が失踪したことをどこにも漏らさないための正攻法。