光のもとでⅠ
「でも、どうしてここに?」
「静が視察で来ていたから、車に同乗させてもらったの」
「あ、なるほど……。幸倉へは?」
「…………」
「そうですか……。大丈夫です。いざとなれば姉が動きますから」
「……すみません」
 もう、ここに翠葉ちゃんはいないのに……。
 どうしてここへ帰ってくるのかわからなかった。
 突如こみ上げてきたのは怒り――。
 でも、感情のままに怒鳴り込んでいいことはないだろう。
 そう思ったから自分なりに冷却期間を設けてみた。
 けれど、一日経っても二日経っても怒りはおさまらなかった。
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