光のもとでⅠ
 もしかしたら、もう今日には幸倉へ帰っているかもしれない。
 それを願ってインターホンを押した。
 私の期待は裏切られ、インターホンに応答するでもなく玄関が開いた。
 そこには、げっそりとやつれた碧さんが立っていた。
 その姿にも、ここにいることにも、どうしようもない怒りが抑えきれなかった。
「……上がって? ……とは言っても、何もないのだけれど」
 玄関でする話でもないと思い、上がらせてもらった。
 部屋はきれいに片付いている、というよりは、人がいた形跡がないくらいに何も動いていない。
 ただ、窓が開いているだけ。
 気温は三十度を超えているというのに、エアコンすらつていない。
「何やってるんですかっ!?」
 急いで窓を閉め、エアコンを入れた。
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