光のもとでⅠ
「あ、ごめんなさいね。暑いわよね……」
 この暑い屋内にいたにも関わらず、碧さんは汗すらかいていなかった。
「水分は摂ってますよねっ!?」
 キッチンに直行して冷蔵庫を開けると、ポカリスエットとゼリー飲料が入っているものの、ゴミ箱にはひとつもゴミがない。
 流しにはお皿もグラスも何ひとつ出ていない。
 もちろん、テーブルの上にだって食べ物と思えるものは何ひとつ置かれていなかった。
 置かれているのはノートパソコンと携帯のみ。
 ほかはボストンバッグがソファにふたつ置かれていた。
 この親にしてあの子ども――。
 そう思った。
 翠葉ちゃんは今すぐにでも入院するべきだと思ったけど、彼女がそれを拒否していると聞いてる。
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