光のもとでⅠ
「母さん、遅くなった。美波さん、ご無沙汰しています」
 信じられない――この子、碧さんがここにいることを知っていたのっ!?
 あんた、出来が良すぎるのよっ。
 だから、碧さんも零樹さんも甘えるんでしょっ!?
 シスコンなのはこの際どうでもよかった。
 思わず、蒼樹くんを見る目すらきつくなる。
「あら、出来のいいご子息のお越しですよ」
「美波ちゃん、あなたの言うことはもっともだと思うわ。それでも、うちにはそうできない事情があるの」
 姿勢を正した碧さんに言われる。
 そんなのっ――。
「どんな事情があるのか知りませんけど、子どもが具合悪いっていうのに仕事でずっと家を空けているは、息子と他人にすべて任せきりだは、私には全然理解ができませんっ。それに、今ここに留まっている理由も理解できないっ」
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