光のもとでⅠ
「たとえばさ、桃華を好きだと自覚して、それを伝えずに俺は諦めることなんてできるのかな、って考えたら無理だなぁ……って思ったから」
 頭を掻きながら言う。
 もう、この人は――。
「そういうのさらって言うからずるい……」
「ずるい?」
「嬉しいけど、ずるいです」
 蒼樹さんは要領を得ない顔をしていた。
「蒼樹さん、時間ですよ」
 時計に目をやり告げると、蒼樹さんも自分の腕時計に視線を落とした。
「あ、行かないと……」
 少しの反動をつけて木から離脱。
「桃華、今度そういう話をしようか」
「え……?」
「気持ち上の話とか、過去の恋愛とか」
 意外と言ってもいいかしら……?
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